多摩川 トップページイベントレポート→かわさき多摩川博2010シンポジウム

かわさき多摩川博 2010 報告


場 所:エポック中原 大会議室「武蔵」
参加者数:150名(うち静岡市から20名)


■会場の様子■当日設置された二ヶ領用水ブース

■多摩川博 スタート
☆司会進行は「かわさきFM」の岡島 彰子 さん
☆オープニングは花柳 錦右社中の日本舞踏「多摩川」で艶やかにスタートしました。

■主催者挨拶
☆NPO法人多摩川エコミュージアム代表理事 北島 信夫
多摩川の歴史という観点から今回のシンポジウムを開催させていただいた。そして特に今回は静岡から清流の都・静岡創造推進協議会の皆様に多数ご来場頂き、誠にありがとうございました。
☆川崎市副市長 三浦 淳
50数年川崎に住み、一時期汚れてしまった多摩川も、近年では水質が回復していることを実感している。これはアユの遡上といった形でも証明されているが、その背後にあるNPOや市民団体、もしくは国交省京浜河川事務所の皆様の努力に感謝したい。

■来賓挨拶
☆清流の都・静岡創造推進協議会 副会長 鈴木 健治 さん
清流の都・静岡創造推進協議会と多摩川エコミュージアムでは、昨年6月にお互いの事業に参加するなど姉妹都市のように交流していくことを調印した。
この調印に基づき、静岡の興津川では川崎の子ども達を川遊びや鮎釣りを楽しんでもらい、一方川崎河口では、 海苔づくり体験など貴重な体験をさせてもらった。今後もこのような活動を続けていきたい。
☆国土交通省 京浜河川事務所 所長 元永 秀 さん
昔の多摩川の話を聞くと、多摩川が蛇行し、暴れ川であったことが伺える。それが今では川幅は狭められ、高い堤防で押さえ込まれている。そういった中で、町自体の高さを上げていこうというスーパー堤防の構想もある。様々が意見があるかとは思うが、議論を行うのに良い時期にきていると感じる。

■三輪 修三 先生による基調講演
☆基調講演のテーマは、『境界としての多摩川』でした。
古い文献を紐解くと、川には国境や郡の境としての歴史があったことがわかる。これは、例えば多摩の地に、多東郡・多西郡といった地名があり、東西が多摩川を境に分断されていたということでも理解される。
しかし、川にまつわる儀式、例えば灯籠流しなどには、川の「境界」としての役割が、単に物理的なものだけではなく、精神的な、もしくは信仰上の境としての役割があったことも考えられる。
突き詰めていくと、川の持っている基本的な属性とは、無主の地、無領主の地、荒蕪の地であることで、誰の所有でもあり、誰の所有でもないという事なのではないだろうか?

■2010年ふりかえり
☆NPO法人多摩川エコミュージアム理事 佐藤 徹
4月の桜のコンサートから10月のみずウォークまでをパワーポイントを利用して振り返った。
☆NPO法人多摩川エコミュージアム副代表理事 佐々木 梅吉
エコ★カップいかだ下りの解説は、当日の風景を撮影したDVDを交えて行われた。
なお今年のいかだ下りのエントリーは33組と大幅な増加であった。

■パネルディスカッション
☆NPO法人多摩川エコミュージアム理事・事務局長 鈴木 眞智子(コーディネーター)
☆NPO法人多摩川エコミュージアム理事・地域史研究家 長島 保
今の多摩川を歩いても、かつて大変な暴れ川であったことの痕跡がない。町を歩けばその町の歴史が分かるようなまちづくりを目指してほしい。その一環として、川崎市と協働で川崎市域の渡し場跡に14基の石碑を建てたとの報告があった。
☆駿府ウェイブ会長 原田 一史 さん
普段、ガイドのボランティアとして活動している。今日はガイドを受ける立場で「徳川ゆかりのまちあるき」に参加してきたが、標識が全ての電信柱に設置されていることに感動した。さらに細部に行き渡ったガイドの案内で私たちが温かく迎えられていることを実感した。
☆川崎河川漁業組合 理事 安住 三郎 さん
子ども達に多摩川の魅力を体験してほしいと、総合学習の中で渡し船に乗船してもらうことを始めてから丸6年が経った。これは上丸子小学校の校長先生や、NPO法人 多摩川エコミュージアムの皆さん、その他様々な方々との協力でできたわけで、その事に感謝したい。
☆大田区立郷土博物館学芸員 北村 敏 さん
我々の感覚を、車社会の感覚ではなく、50年前の感覚で捉えると、多摩川の「流域」ではなく「両岸文化圏」というものが見えてくる。日常的に川を渡り、例えば漁師なら川向こうに舟をつけたり、獲れた魚を納めたりしたのではないか。今日的な車社会の中で、どうやって両岸の感覚を持っていくかということについては、何らかの仕掛けが必要であるだろう。

■閉会
☆NPO法人多摩川エコミュージアム副代表理事 松井 隆一
ご参加いただきました皆様、そしてご協力下さった関係者の皆様、ありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
『多摩川の清く冷くやはらかき 水のこころを誰に語らむ』(岡本 かの子)